人間の寿命の限界はどれくらいなのだろう?江戸時代の平均寿命が32歳~44歳と言われていたがそれは多くの乳幼児が若くして死んでいたという事情もある。2019年のデータによると日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳となり、ともに過去最高を更新しているが、更に医学技術が発達すればもっと伸びるのだろうか?
だが残念なことに死は逃れられない運命であるようだ。それは私たちの体が撹乱から回復する力が衰え続けるからだ。『Nature Communications』(5月25日付)に掲載された新たなる研究によると、仮に病気・ストレス・事故によって死ななかったとしても、人間は120~150歳のどこかの時点で寿命が訪れるという。つまり150歳が限界となるそうだ。
人間は最長150年で回復力が消失する
シンガポール企業Geroの研究グループは、アメリカ・イギリス・ロシアの血液・DNA・ライフスタイルに関する大規模なデータを対象に、白血球の数と日々の歩数を調べ、それらと年齢をからめて分析を行なった。目的は、安定した健康状態からの逸脱を通じて「老化のペース」を知ることだ。
その結果、白血球数と歩数のパターンはどちらも同じであることがわかった。年齢が上がるにつれて、混乱(たとえば体調不良)が起きたあとに元の安定した状態へ戻るまで時間がかかるようになるのだ。つまり回復力が徐々に衰えていっているということだ。
そしてこの衰えるペースをもとにすると、120~150歳のどこかの時点で回復力が完全に消えて、死にいたるだろうと予測される。白血球の数と違い、ライフスタイルに大きく左右される毎日歩く距離は、かなり個人的なものだ。それにもかかわらず、歩数にも同じパターンが存在するという事実は、こうした回復力の低下が体のさまざまな領域で進行していることを示唆していると考えられるという。
35~40歳を境に回復力の低下が目立つようになる
なお今回の研究では、35~40歳を境に、回復力の低下が目立つようになることが明らかになっている。それは奇しくもスポーツ選手が引退するタイミングと重なっている。研究者によれば、このことからも、この年齢に達すると生理学的に何かが起きるらしいことがうかがえるそうだ。
健康寿命を延ばすには?
ところで私たちの関心はおそらく単純な寿命の長さなどではないだろう。仮に病気が克服されて長生きできたところで、寝たきりのままではあまり意味がない。本当の問題は寝たきりの時間を延ばすことなく、健康的に活動できる寿命を延ばすことができるか? なのだ。
そして今回の研究によるならば、単純に病気やストレスを克服しただけではダメだということになる。老化という根本的な生物学的プロセスが止まらないからだ。健康に生きられる寿命を延ばすには老化を食い止める方法を発見しなければならない。
将来的には細胞の老化を防ぐバイオハッキング技術によりそれも可能となるかもしれない。AIに自分の脳や意識を移し替えるエミュレーション技術の開発も進められている。昔から不老長寿は人間の夢であった。果たしてそれはいつの時代に叶うことになるのか?あるいは叶わないのか?あと1000年くらいは生き見ないとわからないかな。
【カラパイア】
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。