今回は時の権力者たちが追い求めてきた「不老不死」について話していきます。
少し前までは100歳を過ぎる人を珍しく感じていましたが、今では年々平均寿命が伸び続けていて、2500年には寿命が200歳になると言われています。
生物学的な観点からは「人間の寿命は120年」という説があります。
根拠としては、「命の回数券」とも言われるテロメアを使い切るのが120歳ぐらいだという事です。
テロメアとは、染色体の末端部にある構造で、染色体末端を保護する役目をもつとされます。
しかし、科学的な観点からは、300年でも生きると主張する科学者もいます。
ただし、年齢を重ねれば重ねるほど脳は萎縮し、認知症などの障害がみられるリスクは高くなりますし、肉体も衰え続けます。
ミラノ大学の薬学者で、神経生物学者でもあるミケーラ・マッテオーリ氏は、「体のほかの細胞と違って脳は老化しないし、脳のニューロンは一度分化するとそのまま残る。」と発表しています。
となると、以前に取り上げた話題のイーロン・マスク氏が仕掛ける「ニューラリンク」や、ムーンショット計画とも繋がってきます。
人工的な体(アバター)に脳を移し換えれば、人間は何百年も生き続けることが可能になるということです。
人間が不老不死を目指すには、大きく分けて3つのアプローチがあります。
1つ目は、人体冷凍保存により、体を低温の状態に保ち、その後、蘇生させるというものです。
遺体は完全に血液を抜かれ、マイナス196℃の液体窒素に逆さまに漬けられた状態で、100年先まで保存されます。
未来の医療技術が発展することに夢を託し、蘇生する技術が完成した時点で解凍、治療しようという考え方です。
2つ目は、老化する要素を排除し、延命するための薬を作るというもので、
アメリカのMITでは細胞の新陳代謝を促進する化学物質を入れたカプセル錠剤を開発しました。
実験により、このカプセル錠剤には延命効果があることを明らかにしています。
3つ目は、人間の頭脳を不死身のボディーにアップロードするというものです。
ロシアの企業家ドミトリー・イツコフ氏は、「2045イニシアチブ」というプロジェクトを進めています。
人間の脳をコンピュータに移植する取り組みで、人間は脳が寿命を迎えるまで、永遠に若さを保ち続けることができるようになるといいます。
このプロジェクトでは、自分の思い通りに操作できるロボットを作り、次の段階で人間の脳をロボットに移植します。
その後は「脳のコンテンツ」をロボットにアップロード。
「最終的には有形のロボットではなく、ホログラム・タイプのボディを開発したい。」と、イツコフ氏は語っています。
まるでSF映画のストーリーのようにも聞こえますが、ロボット技術は急速に発展し、ホログラム技術もほぼ完成しています。
イーロン・マスク氏とも関わりの深い、「ペイパル」の創始者ピーター・ティールや、シンギュラリティーに関する予言で知られる未来学者レイ・カーツワイルも、「老いや死は、科学技術の発展で克服できる」と主張しています。
ここで注目しておきたいのが、ピーター・ティール氏です。
世界を動かす権力者が集うビルダーバーグ会議に出席していて、トランプ大統領を陰で操る人物とされています。
そして、この人が投資したビジネスは今までの常識のレベルでは考えられないスピードで成長すると言われています。
「不老不死」は実現したも同然という事です。
ただ、不老不死になったとして、それが幸せと結びつくのかどうかは別問題です。
ちょっと未来を想像してみましょう。
人類が脳をロボットに移し換えれば、誰も、子供を産んで育てなくなるでしょう。
そして、社会のシステムは停滞し、世代交代も行われず、経済的にも文化的にも次第に先細りになっていき、社会は崩壊します。
誰もが平等に不老不死の技術を提供してもらえるわけではないと思われますので、絶対的な階級格差が生まれるのは間違いありません。
「貧富の格差」ではなく「命の格差」という問題に発展するかもしれません。
また、脳が不老不死のロボットに移されるようになれば、意識は瞬時に広大なネットワークにアクセスできるようになって、「人間」という生物としての存在価値は失われていくことになると思われます。
AIやテクノロジーが人知を超えた領域にまで発達しようとしている現代において、今一度原点に立ち返って、人としてどう生きていくべきなのかを真剣に考える必要がありそうです。
AIの能力が人類を超える「シンギュラリティ」は、2045年に訪れると予測されていて、その前の2030年頃には、人間の社会生活、経済生活あるいは価値観が大きく変わる「プレ・シンギュラリティ」がやってくると言われてます。
「プレ・シンギュラリティ」の向き合い方を誤れば、シンギュラリティの到来を待つことなく、人類の存在自体が宇宙から永遠に消えてしまうかもしれない、と示唆する研究者もいます。
果たして、不老不死は幸福をもたらすのか?
あなたは、不老不死を手に入れたいと思いますか?
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